
平成14(2002)年第1回目のNew Year Live。この南青山でのライブも5回目になるのでしょうか。
土曜日開催ということもあってか、遠くから足を運んでくる人も多いよう。当日は天気も良く、きっと、自分以外の人の行ないがいいんだなあ、と感心。ただ、吹く風は冷たく、変温動物並に冷たくなってしまう手をこすりながら開場時間を待ちます。だれ?変態動物なんて言ってるのは。その通り。
この凍てついた心身が、やわらかくジワジワっとヌクヌクにしてくれるのが、聖子さんの歌声。「癒し系」なんていう軽い言葉でまとめたくありませんが、聖子さんには、優しく包み込んでくれる、そんなあたたかな心地よさがあるのです。
そのあたたかさを、いまかいまかと、寒いのにワンドリンクで血迷って頼んでしまった冷たい生ビールを飲みながら、待っているのでした。さぶっ。
照明がおちいよいよスタート。まずは、ピアノにベース&パーカッションという構成でスタート。
石井聖子といえば、代表曲は「ANNIVERSARY」。その「ANNIVERSARY」からスタートしたのにまず驚いてしまいました。
この「ANNIVERSARY」もこれまでに何度もライブで聞きますが、それぞれアレンジが違って、こんなに表情が変わるのかと驚かされます。気のせいか、いつもよりキーが高いように感じられました(私に音感がないだけだと思うけどさ)。
今回は、CDと同じように♪九段下手をつないで〜 で歌ってくれました。やっぱりこう歌ってくれるとうれしいやね。いつか、聖子ちゃんと手をつないで九段下を歩きたいもんです。
絶対無理です。
「みなさん、あけましておめでとうございます」というMC。そうか、まだ1月なんだなということに改めて気付かされます。
なんだかせわしい世の中、でも、聖子さんのライブでは、ゆったりとした空間が現われるのです。ほんわか〜。聖子さん、のほほん茶のCMにでてみたら? エキストラとして、えのもっ茶がでてあげよう。
2曲目「Gift」。別れた彼のことを思い出すちょっぴり切ない曲です。
前回、前々回はチェロの橋本歩さんとのコーラスがあったのですが、今回は聖子さん一人。でも、とっても音に厚みが出てきた感じがしました。
オリジナルのCDと比べると、もちろんCDもすてきですが、音はシンプルになったにもかかわらず、本当に奥深さが出ていました。
「Spoon」は「Gift」と反対に、寒い冬の朝をむかえた恋人達の風景。ベットの中でぬくぬくとスプーンのようにぴったりと寄り添う恋人達を描いた曲です。
作詞は聖子さん本人。実体験でしょうか。うらやましいなあ。熊本の鶴屋のCMで使われていた曲ですって前にも書いたっけ。
次の「恋だっていいのに」は1stアルバムにもおさめられている、4枚目のシングル曲です。「発掘!あるある大事典」のエンディングにも使われていた曲でもあります。ライブで演奏されるのは、おそらく今回が初めてではないでしょうか。
ここで、サポートメンバーを紹介しましょう(敬称略)。今回は、鬼武みゆき(Pf)、バカボン鈴木(B)、岡部洋一(Per)、CHICA(Vn)、前田善彦(Vc)というメンバーです。
いずれの方も聖子さんと一緒に演奏するのは初めてです。
ピアノの鬼武さんは、このマンダラで定期的にライブをされているようで、そのライブで聖子さんとしりあい、ライブをすることになったということらしいです。今回のライブのアレンジはすべて鬼武さんによるものということ。
バカボン鈴木さんは、幼少の頃、赤塚富士夫氏とあい、赤塚氏が鈴木さんをみて、バカボンのキャラを思いついたそうで、元祖天才バカボンの元祖なんだと、大ウソをついていました。でも言われてみると、バカボンに顔が似てるか!?
チェロの前田さんは、美女を囲んでチェロを教えている先生だということです。うらやましいぞ。
次はCD化されていない未発表曲ながら人気の高い「鱗粉」。作詞は聖子さん。
ボロボロに傷ついた乙女心を書いたようなのですが、鬼武さんは、いや、これはフッ切れた女の詞だわ! と受け取ったらしく、アレンジもだいぶ変わっていました(というより、どれがオリジナルなのか、CD化されてないからわからないです)。聖子さんも詞に対する受け止め方が変わったと語っていました。
「聞いてもらえますか 少しの時間いいですか」という出だしではじまる「無題」。未発表曲で、本当にタイトルがつかないようです。ちょっと切ない歌です。辛い頃に書いた詞のようです。
この歌も何回かライブで披露されているので、だんだん、馴染みの1曲になってきました。「何かいいタイトルがおもいついたら連絡下さい」by 石井聖子
次の「愛という名の空」。聖子さんが詞を書き、それに鬼武さんが曲を付けたものです。もちろん、今回のライブが初披露。聖子さんお得意のお月様が出てくる歌詞でした。
でも、聞いてる限り、今までにない、かなり濃密な男と女の愛しあう姿が描かれていました。あ〜愛されてみたい。そう思うファンはかなりいたでしょう。聖子さんいい恋愛してるご様子。スローナンバーでじっくりと聞かせます。
そして、雰囲気はガラッと変わって軽快なポップナンバー「今もいつも」。ピアノ、パーカッションのそれぞれソロコーナーがあって、ここで盛り上げを見せます。こういう曲があともう少しあると、全体としてもうちょっとメリハリがつくんではないと、いうのが正直な感想。
「白蓮」はCD化されていませんが、去年のライブから必ず演奏される1曲です。かなり気に入っているご様子。
そして、最も今回アレンジが変わったと思った「恋態(れんたい)」。なんと3拍子にアレンジされていました。この変わり方にはちょっと驚き。でも、正直な感想、今回のアレンジよりはCDの歌い方の方が良いと思いました。
2002年の扉が開かれたということで、最後の曲は「DOOR」。CDでもかなり奥ぶかい仕上りになっていますが、今回のアレンジはよかったです。聖子さんの歌い方もより素直になった感じがして、より、聞きやすくなりました。
やっぱうまいわ、聖子さん。
と、感心している間に終了。
アンコールの拍手で再登場の聖子さんですが、なんと、アンコールの曲は用意してないとのこと。え〜。ということでしたが、もう一度、1月生まれの人のお祝いを兼ねて、「ANNIVERSARY」を歌ってくれたのでした。これで完。
さて、今回の平成14年一発目のライブは、全体的に、スゥイングジャズ系に仕上っていました。聖子さんの好きなジャンルがジャズなのかもしれません。
聖子さんのCDを聞いて、初めてライブを見に来た人は、「ありゃ?」という感想を抱いたかもしれません。ポップスというか、俗にいう歌謡曲というイメージはほとんどありませんでした。
そのアレンジで歌うことに、向き不向きといった賛否両論、いろいろな意見があるでしょう。しかし、ジャズというのは、クラッシックと同じように、基礎がしっかりしていないと出来ないものだと思うのです。
そういうことを考えれば、聖子さんはシンガーとして、音楽レベルの高いところを目指して挑戦している、と、捉えることができると思います。高いところを目指し、シンガーとしての質を高めていくことが、結果、ファンを魅了させていくことになるのではないでしょうか。
こうしてあとから振り返ってみると、ものすごく歌唱力が上達しているのがわかりました。
その場でも確かに「あぁ上手だな」というのは実感するのですが、家に帰ってオリジナルのCDを聞いてみると、歌声に深みが増していて、その良さがわかります。素晴らしさが、ジワジワジワと、まるでボディブロウのように効いてくるのです。
鬼武さんの指導も大きいでしょう。いろんな音を重ねて作る音楽より、シンプルな音作りの方がごまかしがききません。
でも、このところの聖子さんのライブは生音にこだわり、シンプルな音作りをします。それで、歌声がどんどん深みをましていくのがわかるのですから、たいしたものです。
こういう言い方を聖子さんは嫌がるかもしれませんが、ENYA(エンヤ)の様なやわらかく包み込む感じが最近出てきたと思います。
ますます、聖子さんから目が離せなくなってきました。シンガーとしての頂点をきわめようとしている聖子さんに、また会いたいです。
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ご存じない方はぜひ一度歌声を聞いてみてください。涙出ますよ。
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